とびだせ!セイセキZINE Vol.1 365日野草生活 のんさんの聖蹟桜ヶ丘野草散歩を開催!

とびだせ!セイセキZINE Vol.1 365日野草生活 のんさんの聖蹟桜ヶ丘野草散歩を開催!

2025年3月9日(日曜)。市民参加型ローカルマガジン、聖蹟桜ヶ丘”People”ガイド『セイセキZINE』連携のリアルイベントとして「とびだせ!セイセキZINE Vol.1」を開催しました。当日は早春を思わせる暖かさで、集合時間(14時)の気温は14℃。やさしい日差しを感じながら、イベントは穏やかに始まった。

イベント名は「365日野草生活 のんさんの『聖蹟桜ヶ丘野草散歩』」。多摩川など年間約100回の植物観察会を開催し、メディアやSNSを中心に身近な植物の面白さを広める活動に尽力する彼女は、”知る人ぞ知る”野草愛好家。約1300種類の野草を見分けることができるとのこと。本誌『セイセキZINE』の#3にて「野草愛好家に聞く、多摩川河川敷『春の野草』ガイド」 に登場していただいた人でもある。

 

イベント当日の参加者は14人。『セイセキZINE』でのんさんの存在を知った方、聖蹟桜ヶ丘エリアに住んでいる方、過去に開催した彼女のイベントに参加したリピーターなど、子どもから大人まで多彩に集まった。

 

「本日は皆さん、聖蹟桜ヶ丘野草散歩に参加してくださり、ありがとうございます。まちなかに生きる”野草の世界”を知ると、暮らしがもっと豊かになると思います。今日はブロック塀の隙間やコンクリートの割れ目などで、まちなかで力強く生きる野草たちと、まち歩きを楽しみながら観察していきたいと思っています。”野草の世界”を知ることで、身近な風景が宝探しになったら嬉しいです」

集合場所の聖蹟桜ヶ丘駅西口「青春のポスト」前で、イベント参加者に向けてこんな風に話すのんさん。

 

本日のコースは「青春のポスト」前をスタートし、「さくら通り」を南下して「大栗川」を越え、「いろは坂通り」をのぼって「いろは坂 桜公園」へ。そこから戻り、大栗川を右折して川沿いを散策し「九頭竜公園」へ。川崎街道を渡って多摩川河川敷芝生広場「せいせきカワマチ」にて、春の野草を探すコースだ。

 

散策がスタートして、最初にのんさんの目に留まったのは、「あらいぐまラスカル」と多摩市の花・ヤマザクラが描かれた、「さくら通り」沿いにあるマンホール。「皆さん、目を凝らしてみてください。こちらはツメクサ(爪草)です。道ばたなど身近な場所にごく普通に生える1年草で、よ〜く見ると葉っぱの形が尖っていて爪のようですよね」と、のんさん。

数10メートル歩いて、次に出会ったのは「キュウリグサ」(胡瓜草)。秋に発芽し、ロゼット(植物が地面に葉を放射状に広げて過ごす)状態で越冬し、春に開花するとのこと。目を凝らしてみると、中心付近がほんのり黄色で水色の花びらがかわいい。葉を揉むと、「キュウリの香りがすることから名づけられたんですよ」と、のんさん。その話を聞き、「わぁ、ホントだ!」と笑みをこぼす参加者の皆さん。普段、あまり気に留めることのない”小さな野草たち”の一つひとつの物語を聞くにつけ、身近な風景が宝探しになりそうなことに、なるほど納得。今回、彼女が持参したルーペは、「Vixen」(ビクセン)メタルホルダー10倍。ルーペを使うと、野草の細かな形状をズームして見ることができるのでオススメとのこと。

「大栗川」を渡って「いろは坂 桜公園」に向かう道中、「いろは坂」沿いの法面にある苔の説明を経て、ノビルを発見。「皆さん、みてください。ノビルがたくさん生えていますよ。晩秋から伸びだして花期は初夏から夏頃、ネギやニラに似た臭いが特徴なんですよ」と、のんさん。

「いろは坂 桜公園」で10分ほど休憩。3月下旬から4月上旬にかけて「ソメイヨシノ」が咲く“お花見スポット”として知られ、公園内から聖蹟桜ヶ丘駅や多摩川の先まで見渡すことができる。

休憩が終わると来た道を戻って「大栗川」へ。

 

「皆さん、桜と梅の違いをどう判断するのか、知っていますか?」と、のんさん。「樹皮で見分けることができて、桜は樹皮がボーダーで梅は、ストライプなんですよ。皮目が横なのが桜で、縦なのが梅。こんな風に覚えておきましょう」。こんな話を聞き、「わぁ、ほんとだ。覚えておきますね」と、口をそろえる参加者の皆さん。

「大栗川」沿いを歩きながら、コセダングサ(小栴檀草)やシナダレスズメガヤなどの説明をし、「九頭竜公園」へ。聖蹟桜ヶ丘のまちの歴史を記した記念碑の説明をし、川崎街道を渡って多摩川河川敷芝生広場「せいせきカワマチ」へと向かう。その道中、「わぁ、草のマンションを見つけました!」と、のんさん。聞けば、10種類以上の野草が寄せ植えのように生えているとのこと。そんな様子を見るにつけ、「野草って力強いなぁ。目を凝らすと、いろんなところに生息してるんだ」と、参加者の皆さん。道中、商店の軒先でイヌコハコベを見ることもできた。

最後に訪れたのは、多摩川河川敷芝生広場「せいせきカワマチ」。『セイセキZINE』の#3にて「野草愛好家に聞く、多摩川河川敷『春の野草』ガイド」 と題した記事で、のんさんと共に同じ時期に訪れた場所だ。

「皆さん、ここまでよく歩いてくれました。最後に観察するのは『せいせきカワマチ』です。多摩川のほとりには水草を含めると、年間で約200〜300種類の野草と出会うことができるんですよ。今日は、セイセキZINEで紹介した『ヘラオオバコ』や『ヨモギ』、『ノビル』、『スイバ』、『ギシギシ』を探してみましょう」と、のんさん。

「わぁ、この野草って『ヘラオオバコ』ですよね」「『ヨモギ』を見つけました!」「のん先生、『ギシギシ』と『スイバ』って食べることができるんですよね? どんな調理方法が適しているんですか?」……など、参加者皆さんから多くの声を聞くことができた。そんな声に対して一つひとつ、丁寧に応えるのんさん。あっという間に2時間のイベントは終了に近づくのだった。

最後の締めは、のんさんによるこんな言葉で終了。

 

「今日、皆さんと2時間にわたって聖蹟桜ヶ丘のまちなかを歩き、多くの野草と出会うことができました。途中から皆さん、野草への解像度が上がり、”植物と顔なじみ”の関係になれたのではないでしょうか? 自然観察は、私たちの暮らしと向き合うことでもあります。野草を知ることで、皆さんの暮らしが少しでも豊かになれば幸いです。今回のイベントをきっかけの一つとし、身近な風景が宝探しになったら嬉しいです」